編集部おすすめ:おすすめの純文学18選
ここまでは、読書家500人が選ぶおすすめの純文学の人気ランキングをご紹介してきました。
次に、Bookey編集部が選ぶおすすめの純文学18選をご紹介していきます。中には有名ではない本もありますが、どの本も魅力的な内容でおすすめですよ!
エピソードが短めで、とても読み進めやすい
国語の教科書で取り上げられる「坊ちゃん」「三四郎」をはじめ、誰もが知っている日本を代表する文豪、夏目漱石。しかし読書に苦手意識を持っている人にとっては、つい敬遠してしまう作家の一人に数えられるかもしれません。
しかしこの「夢十夜」は、主人公が見た夢について描かれる短編集なので、ひとつひとつのエピソードが短めで、純文学の中ではとても読み進めやすい1冊です。
誰しも、内容や設定が荒唐無稽な夢を見て「なぜあのような夢を見たのか?」と妙に心に引っかかってしまうという経験はあると思います。「こんな夢、見たことがあるかもしれない」など、共感しながら読むことが出来るでしょう。
rei_21さん/40代/女性
静かな湖の水面のような孤独に、胸を締め付けられる
研ぎ澄まされた孤独と、青年期独特の「あと一歩相手に踏み込んでいけない繊細さ」、誰しも経験している心の痛みを、非常に静謐な美しい文体で描いています。
主人公のあまりの孤独に、しばらく読み返すことができないほどの衝撃を受けたことを覚えています。
戦争によって深く傷ついた世代の若者の物語でもあります。自分ではどうしようもない状況に追い込まれ、苦しんでいる人が多い現在の状況が、この作品の背景に似ていると思います。
この作品に何かを感じてくれる人はきっと多いと思います。青春のさなかにいる若い人にも、青春期をふりかえる余裕のできた大人にも読んでほしい作品です。
miwagoさん/40代/女性
人生の問題が次々に描かれていて、現実の出来事のように惹きこまれる
悩みやすい性格の主人公に難題が次々に起こって、そこから救われていこうとする煩悶の小説です。
ここに描かれている問題は、「実際に生きていれば、そこここで起こってもおかしくないようなこと」ばかりであるように思えます。おそらく読み進んでいくと、そういう「さもありなん」という人生の問題が次々に描かれていて、現実の出来事のように惹きこまれていくでしょう。
「悩みぬく人間」「人生の問題を進んで乗り越えたい」と思う人間には、必読の書だと思います。
主人公が最後、小さな悟りをひらいていくシーンが、「人間というものの大きさや奥行き」を感じさせます。
田中潤さん/30代/男性
外科室
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 泉鏡花 |
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出版社 | 青空文庫POD |
発売日 | 2014/12/22 |
価格 | 440円 |
「一途に思い続ける事とは何か」がわかる作品
お互いに秘めた想いを抱える二人の、儚いながらも綺麗な両片思いを描いた作品です。
絵描きである「私」の目線で語られる、とある手術室の光景なのですが、まず文章がとても綺麗で、一文一文噛み締めるように読んでしまいました。
胸の内に秘めた恋心を誰にも悟られずに生きてきた夫人が、手術の麻酔がかかる事で意中の相手のことを話してしまうのではないかと不安がる場面は、最後まで読み切った後に「そうだったのか」と気づける仕様になっているのも面白いところです。
一度目で物語の真相を知り、ニ度目に読み返す事で「だからこう言っていたのか」と、さらに作品への理解が深まります。
sea0126さん/30代/女性
奇跡の人 The Miracle Worker
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 原田 マハ |
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出版社 | 双葉社 |
発売日 | 2018/1/10 |
価格 | 794円 |
力強いメッセージに勇気づけられる一冊
激動の明治時代に生きた女性家庭教師が、盲目で耳も聞こえず、口も利けない「けもの」のような少女に、人としての尊厳や自由を取り戻すストーリーは、和製ヘレン・ケラーといっても過言ではありません。
少女に眠った才能を開花させるため、渾身の愛情と熱意で教育する家庭教師の姿に、熱く心打たれます。
クライマックスでは、明治時代から70年の時を経て繋がる奇跡の物語に、作者・原田マハの神髄を感じます。
どんな人間にも可能性がある、輝かしい未来がある、という力強いメッセージに勇気づけられる一冊です。
kafuviさん/20代/女性
山の音
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 川端 康成 |
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出版社 | 新潮社; 改版 |
発売日 | 1957/4/17 |
価格 | 737円 |
平和な空気感に隠された人々の葛藤や心情が味わい深い
川端康成の小説です。
主人公は老年期を迎えた家主で、自分たち夫婦と息子夫婦が同居している家庭の日常を描いています。
各章にこれといった事件は起こらなくて、また、全体を貫くストーリーがあるわけでもありません。
書かれた当時は、こういった「何も起こらない日常の普通の会話」がトレンドだったのでしょう。平和な空気感に隠された人々の葛藤や心情が好きです。
こだまけんじさん/40代/女性
現実と非現実とが地続きで描かれていて面白い
マシアス・ギリはある小国の統治者で、独裁者として登場します。題名で彼が失脚することは明白なのですが、政略政争の陰湿さが描かれるのではなく、この島国で起こる不思議な叙事詩が展開します。マシアス・ギリが失脚してしまうのも、この叙事詩の一つの通過点のように感じます。
日本から南の島にやって来た慰霊団のバスが消えてしまい、マシアス・ギリの行政に、島の伝統的な文化や権威が入り込んできます。見えないものと見えるものの狭間で、様々な出来事が多元的に繰り広げられて、読んでいて飽きることがありませんでした。
日本人は、確固とした宗教観を持っていないと言われます。でも、この本の面白さを感じられるのは、伝統的な生活や風習の中で培った共通した価値観や、祖先への無意識の畏怖があるからだと思います。
遠い架空の国の物語を通して、自分の日本人的な感覚を再確認する、面白い読書体験でした。
ncmsk523さん/50代/男性
桜の森の満開の下
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 坂口 安吾 |
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出版社 | 講談社 |
発売日 | 1989/4/3 |
価格 | 1,540円 |
愛と幻想渦巻く不思議な世界観が魅力的
この話は、山賊の男が襲った男の妻に惹かれるところから始まります。
美しい女のわがままを聞くうちに山賊はだんだんと変わっていき、やがて山から村へおりていきます。
そんな男が、満開の桜が咲き誇るかつて住んでいた山で何をするのか。
現実とも妄想ともつかない不思議な終わり方に目が離せない作品です。
yuseさん/20代/女性
瓶詰の地獄
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 夢野 久作 |
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出版社 | KADOKAWA; 改版 |
発売日 | 2009/3/21 |
価格 | 704円 |
兄妹ふたりきりの島で、人間の尊厳は保たれるか考えさせられる
嵐の日に無人島へ流れ着いた兄妹の生活を描いた日記風の小説です。この日記はおそらく兄が書いたものです。
無人島でのふたりきりの生活が長くなるにつれ、だんだんと彼らの行動は、奇妙なものへと変わって行きます。
最後のほうに書かれた文章の時系列がよく論議の的になっていますので、ぜひ読んで、この小説の謎に思いを馳せてみてください。
紫歌さん/40代/女性
罪と罰
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | ドストエフスキー |
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出版社 | 新潮社; 改版 |
発売日 | 1987/6/9 |
価格 | 869円 |
罪というものが何か考えさせられる作品
「罪と罰」はドストエフスキーの代表作の一つで、主人公が「世界を作るような天才は、犯罪を犯しても構わない」という哲学のもと、老婆を殺害し、警察がそれを追うというストーリーです。
犯罪とは何か、そしてその法律を破った先に待っている未来はどういうものであるかについて、非常に示唆深い作品なので、おすすめです。
xxxv359さん/20代/男性
見るまえに跳べ
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 大江 健三郎 |
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出版社 | 新潮社; 改版 |
発売日 | 1974/5/28 |
価格 | 693円 |
個人としての生き方を問われ、考えさせられる
ノーベル文学賞作家でもある大江健三郎さんの、初期の頃の作品です。
戦後の日本で、その時代や堕落した生活から脱け出そうと足掻きながらも、飲まれていく人間の話。
登場人物の言動全てが、自分に問いかけているように感じてしまい、初めて読んでから15年以上経った今でも、作中のフレーズがことあるごとに脳裏をよぎります。
個人としての生き方を考えさせられる作品なので、なるべく若いうちに読んで欲しいです。
mkts8794さん/40代/男性
高瀬舟
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 森 鴎外 |
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出版社 | 集英社 |
発売日 | 1992/9/18 |
価格 | 374円 |
豊かさとは何かを考えさせられる一作
こちらは高校の教科書に取り上げられていることが多いので、読んだことのある人も多いのではないかと思います。
安楽死をテーマにしていることで有名ですが、鴎外は果たしてそれを主題にしているのか疑っています。
短編で読みやすいので、未読の方にも一度は読んでほしいですし、鴎外がこの作品で何を描きたかったのか考えていただきたいなと思っています。
あいかaikaさん/40代/女性
治療塔
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 大江 健三郎 |
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出版社 | 講談社 |
発売日 | 2008/2/15 |
価格 | – |
社会の在り方を地球規模で考えてみるきっかけになる
汚染され荒廃した古い地球から、百万人の「選ばれた者」たちが太陽系の外の新しい地球へ移住していきますが、新しい地球の厳しい環境を克服することが難しく、古い地球に帰還してきます。
古い地球に残された人たちは、高度なテクノロジーを手放し、自給自足の生活を送っていました。帰還した「選ばれた者」たちは、以前のように支配層に収まり、再び古い地球を効率的で生産性の高い社会に戻そうとし始めます。この行動が、古い地球で生き延びてきた人たちとの意識のずれを明白にし、対立が生じます。
感染症が広がり、これからの生き方を地球規模で考えなければならなくなった現在の状況に、重なるものを感じます。
大江健三郎さんの小説らしく、それぞれの立場を明確にする人物と、その立場を超えて直感的に真理をつかむ人物が登場します。どきどきしながら読み進めていると、心に引っかかっていたことの答えが見つかって、「そういうことか!」と嬉しくなります。
でもすぐに新たな課題が提示されるので、気が抜けません。緊張感のある読書も楽しいものだと思います。
ncmsk523さん/50代/男性
主人公の感情の変化や起承転結が明快で、読んでいて心地よい
「伊豆の踊り子」は文体の美しさと、中編小説というちょうど良い長さのおかげで、するする読めると思います。
川端康成自身の体験をもとに書かれた作品ということですが、主人公の感情の変化や起承転結がはっきりとしていて、読んでいて心地よいです。
恋物語と誤解している人も多いような気がしますが、実際のところ主人公にとって踊り子の存在というのは限りなくファンタジーに近いものです。踊り子から主人公へも然り。
初めから別れありきの出会いだったからこそ、お互いへの想いが美しく昇華するのです。
yamanotsubakiさん/30代/女性
野菊の墓
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 伊藤 左千夫 |
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出版社 | 新潮社; 改版 |
発売日 | 1955/10/27 |
価格 | 374円 |
日本文学の代表的な悲恋だが、びっくりするほど読みやすい
中学・高校の国語の時間に、題名だけは聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
主人公たちと同じ年頃の子供たちが読むには、ちょっと悲しすぎる結末です。
主人公は15歳の少年・政夫。ヒロインは2才年上の民子という少女です。子供っぽいやりとりと、衝撃的なラストの対比が見事だと思います。
これからの時代、「女の子の方が年上だと体裁が悪い」なんて感覚は、だんだん分からなくなっていくものだと思います。でもだからこそ、理不尽な理由で交際を反対されるという共感を呼ぶともいえます。
初恋を知った頃に読んで欲しい作品です。
yamanotsubakiさん/30代/女性
パンドラの匣
- 読みやすさ :
- 文体の美しさ:
- 芸術的感動 :
著者 | 太宰 治 |
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出版社 | 新潮社; 改版 |
発売日 | 1973/11/1 |
価格 | 572円 |
青年期の純情な恋心が描かれ、ほのぼのとさせてくれる作品
太宰治作品の中で異色を放つ「パンドラの匣」です。
主人公の若き男性が結核により、療養所に入院することになり、同じ患者や看護師との交流が描かれます。皆、善人であり、療養所といった限られた空間での様々な出来事が、ほのぼのとした感じで伝わってきます。
結核という恐ろしい病を持った若者が、今後の人生に焦燥感を漂わせる中、女性看護師の看護を受けるうちに、恋心が芽生えていきます。
彼の心の動きが活発化する様子に、好感を持って読み進められます。
姉小路さん/50代/男性
芸術への狂気が感じられる怪作!
芥川龍之介の作品はどれも奇妙な物事を題材としていますが、その中でもこの「地獄変」は芸術に関する壮絶な狂気を扱っていて、読み終わったあとに放心状態になるような話です。
確信的なところはぼかして描かれているので、読後にストーリーの全容を考察するのもまた楽しむことが出来るポイントです。
yuseさん/20代/女性
人類永遠のテーマを清々しいほど痛々しく描いた不朽の名作
「友情か恋愛か」…青春ある限り不滅のこの難題を、二人の親友を通して描いています。
天真爛漫な美少女に恋してしまった、奥手で冴えない主人公。彼の親友は非の打ち所がない好漢で、主人公の恋を応援してくれるのですが、彼自身も彼女に惹かれていきます。主人公のために親友は一旦身を引きますが、その後の展開が衝撃です!
読めば読むほど、青春の素晴らしさと残酷さが胸にグイグイきて、読後は疲れが出るかもしれません。
大正時代に書かれた作品ならではの時代背景、言葉遣いは陰影に富んでいます。日本人として、一度は触れておいてもいいのではないでしょうか。
多少読みにくさはありますが、ちょっとしたタイムスリップ感が味わえます。
512hisagonさん/50代/女性
まとめ
読書家500人が選ぶおすすめの純文学では、1位は『人間失格』、2位は『豊饒の海シリーズ』、3位は『舞姫』となっておりましたので、是非参考にしてみてくださいね。
今回は、この記事では、読書家500人が選ぶ純文学小説のおすすめ28選&人気ランキングを口コミと共にご紹介してきました。
おすすめの純文学アンケートの詳細
第1位(60票) | 人間失格 |
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第2位(46票) | 豊饒の海シリーズ |
第3位(44票) | 舞姫 |
第4位(44票) | 坊っちゃん |
第5位(31票) | 火花 |
第6位(29票) | こころ |
第7位(28票) | 山月記 |
第8位(25票) | 羅生門 |
第9位(19票) | 密やかな結晶 |
第10位(12票) | 檸檬 |
その他(159票) | 上記以外の回答 |
【アンケート調査概要】調査方法:インターネット調査調査期間:2024年06月27日~07月12日回答者数:500人