婚姻関係にない男女の間に生まれた子供のことを「私生児」と呼びます。
現代では「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」とも呼びますね。
この記事では、私生児の戸籍はどのようになるかについて行政書士が解説をしていきたいと思います。
私生児の戸籍
私生児の戸籍については、当事者とその状況により内容が異なってきます。
主に「認知」によって戸籍の変動が異なりますので、それぞれのパターンを確認。
父親が認知をしない場合
私生児は母親が出生届を提出することが決まりとなっています。
よって、母親が出生届を提出することにより、子供は母親の戸籍に入ることになります。
その際、母親が戸籍の筆頭者でない場合(母親が両親と同じ戸籍の場合など)は分籍をして新しい戸籍を作らなければなりません。
これは戸籍法で同じ戸籍に入ることが出来るのは1組の親子(2世代)だけと定められているからです。
そのため、母親を筆頭者とする母親と子供の新しい戸籍を作る必要があります。
このケースで父親が認知をしない場合は、子供の戸籍上の「父」の欄は空欄となってしまいます。
出生届により母親と子供に親子関係が生じたとしても、父親と子供に法律上の親子関係が生じることはないということです。
この場合に父親と子供に法律上の親子関係を成立させるためには、父親による子の認知が必要となります。
父親が認知をする場合で、母親の戸籍に入れる場合
父親が子供を認知することにより、法律上でも親子関係が生じることになります。
よって、子供の戸籍上でも「父」の欄に父親の氏名が記載されることになります。
また、子供の戸籍と同様に、父親の戸籍上でも「認知をした子」として子供の氏名が記載されることになります。
ただし、あくまで法律上の親子関係が成立したにすぎませんので、子供は父親の氏を当然に名乗ることは出来ませんし、父親の戸籍に入れるわけでもありません。
この場合は、母親と子供の戸籍と父親の戸籍というものが別に存在することになります。
父親が認知をする場合で、父親の戸籍に入れる場合
上記のケースで、認知をした子供を父親の戸籍に入れる場合も考えられます。
この場合は、まず「子の氏の変更許可」を申し立てしなければなりません。
戸籍は同じ氏でなければ入ることが出来ない決まりとなっているからです。
子供は出生届により母親の氏を名乗ることになりますので、子供の氏の変更をする必要が生じます。
氏名の変更が完了すれば、次に子供の「入籍届」を提出することにより父親の戸籍に入ることが出来ます。
その際、父親が自分の両親と同じ戸籍であればそこに子供を加えることは出来ませんので、分籍をする必要が生じます。
「子の氏の変更許可」および「入籍届」と、必要であれば父親の「分籍」という手続きを経ることにより、子供は父親と同じ戸籍に入ることが出来ます。
まとめ
今回は、私生児(非嫡出子)の戸籍の変動について解説をしてきました。
戸籍の記録は完全に塗り替えることは出来ず、一生残るものになります。
私生児に限らず子供を産む際は、その子供の人生のことも考えて慎重に行動する必要があります。