みなさんはご自分の「戸籍」の内容をご覧になったことはありますか?
細かい部分まで内容を把握されている方は珍しいかもしれません。
今回はよく疑問に思われる「戸籍を変更することは出来るのか?」という内容について解説をしていきたいと思います。
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戸籍とは
まずは「戸籍」についておさらいをしてみましょう。
戸籍とは「国民個人の親族的な身分関係を証明するための公文書」のことです。
すなわち、自分が日本人でありかつ親族的な身分関係を証明することのできる公の書類というわけです。
住民票などの違いとして、「親族的な身分関係を証明する」ことが出来る点がポイントですね。
住民票などはあくまで「自分個人の身分証明」であるのに対して、戸籍とは「親族的な身分関係の証明」をおこなうことができます。
変更できる内容
戸籍のうち、変更できる内容は「本籍地」です。
本籍地とは、戸籍が保管されている区市町村のことで居住地とは異なります。
本籍地は「転籍」という手続により変更することが法律で認められています。
転籍する方法
転籍は「転籍届」という届出を役所に提出することにより手続きを行うことが出来ます。
実は、この転籍という手続き自体は比較的簡単に行うことが出来ます。
- 転籍届
- 戸籍謄本(戸籍全部事項証明)
- 印鑑
- 本人確認書類
上記の4つを揃えて、変更前の本籍地または変更後の本籍地の役所へ提出をします。
審査はありませんので書類に不備がなければ本籍地の変更が行われます。
転籍した場合のメリット
転籍をするメリットには何があるでしょうか。
主に以下の2つの内容が挙げられます。
戸籍の取得が楽になる
転籍をする一番の理由はこちらではないでしょうか。
戸籍の取得は本籍地の役所へ行わなければなりません。
そのため、居住地と本籍地が別の場合は戸籍の取得が事実上郵送に限られてしまいます。
年に何度も戸籍を取り寄せる機会はないと思いますが、ずっと今の居住地で暮らすことを決めている場合や、あまりにも本籍地から離れて暮らしている場合は本籍地を変更してしまった方が都合が良い場合もあります。
戸籍に離婚歴が記載されなくなる
次に多い理由が「離婚歴」が記載されなくなる点です。
戸籍法では、転籍をした場合に引き継がれる項目が定義してあります。
離婚歴に関してはその項目に定義されておらず、転籍を行った場合は離婚歴の記載はなくなることになります。
もちろん、離婚歴自体がなくなるわけではありませんので昔の戸籍(除籍)を取り寄せることで離婚歴は確認することが出来ます。
転籍した場合のデメリット
では、転籍した場合のデメリットには何があるでしょうか。
考えられるデメリットを挙げてみましょう。
戸籍が複雑になる
転籍をすることにより戸籍の記録自体が複雑になってしまいます。
転籍を行うと、戸籍を管理していた区市町村は増えることになります。
そうすると自分の戸籍を辿る際に最低でも2か所の区市町村より戸籍を取り寄せなければなりません。
相続など、戸籍を全て集めなければいけない場合に手続きが複雑になることは覚悟しておかなければなりません。
自分だけ転籍したい場合は分籍が必要になる
転籍は戸籍の変更になります。
ですので、戸籍上の一部の人のみ転籍ということは出来ません。
どういうことか例を挙げてみましょう。
父親が筆頭者になっている自分と両親の戸籍があるとします。
この場合で自分だけが転籍をすることは出来ません。
戸籍の変更は筆頭者しか行うことが出来ないからです。
自分が転籍を行うためには転籍ではなく「分籍」という手続きが必要になります。
分籍をすると両親の戸籍からは離れることになりますので、それなりに覚悟しなければいけません。
まとめ
今回は「戸籍を変更することは出来るのか」について解説を行ってきました。
戸籍は自分の親族的な身分を証明する公文書であり、大切な家族の歴史でもあります。
転籍を行う際は十分に検討してから決断することをおすすめします。