みなさんにはどのくらいの人数の「親戚」がいますか?
何十人を思い浮かべた方もいれば、何百人も思い浮かべた方もいるかと思います。
では親戚とは一体どの範囲までを含めるのでしょうか。
この記事では、そんな「親戚」の意味から範囲までを行政書士が解説していきたいと思います。
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親戚の意味とは
親戚とは「血縁関係や婚姻関係によって結びつきがある者」を指す言葉です。
全く同じ意味を持つ言葉に「親類」がありますね。
日本では古くから縁組による家単位の結びつきがあり、そのような結びつきによる親族関係を包括して「親戚」と呼んできました。
血縁関係とは
血縁関係とはいわゆる血のつながりのことです。
血のつながりと言っても、生物学的な意味合いだけではなく法律上の血縁のつながりも意味しています。
血縁関係にあるものを「血族」と呼び、血族には「自然血族」と「法定血族」がありますので確認してみましょう。
自然血族
相互に自然の血縁関係のある場合のことを自然血族といいます。
これは生物学上の血縁関係にある場合を指しています。
法定血族
法律で血族関係とされる場合のことを法定血族といいます。
これは養子縁組の血縁関係にある場合を指しています。
婚姻関係とは
婚姻において、配偶者から見たもう一方の配偶者の血縁関係にある者を「姻族」と言います。
夫から見た妻の血縁関係にある者のことで、義父や義母のことを指しています。
親戚の範囲
親戚の範囲ですが、実は親戚の範囲というものは正確に定められていません。
これはどういうことかというと、日本の法律である民法には親族の規定は存在していますが、「家族」や「親戚」の規定がありません。
そのため、〇〇という続柄までを含めるというように範囲が明らかになっていないのです。
ただ、親族は民法で「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」と明確な範囲が存在しており、家族に関しては雇用保険法で「配偶者、父母及び子並びに配偶者の父母」と定めがありますので、この範囲を元に親戚の範囲を考えてみましょう。
両親や祖父母、配偶者の両親は民法で親族と定められていますが、家族と考える方が腑に落ちますね。
では、同じ親族である再従兄弟姉妹(はとこ)となると、どうでしょうか。
はとこまで離れてしまうと、家族というよりも親族と考える方が一般的ではないでしょうか。
同じように三従兄弟姉妹(みいとこ)ではどうでしょう。その存在すら知らない方も多いかと思います。
三従兄弟姉妹(みいとこ)まで離れてしまうと民法で規定している親族にも該当しないことになりますので、法律上では親族のように関係性を上手く表す言葉がなくなってしまいます。
まさに、この三従兄弟姉妹(みいとこ)こそが親戚と呼ぶにふさわしい続柄ではないでしょうか。
つまり、ひとつの考え方として民法の規定する親族の枠から離れる血縁関係や婚姻関係によって結びつきがある者のことを親戚と呼ぶことが出来るのではないかと思います。
親戚の呼び方の一覧を知りたい方はこちら
「親戚」を用いたことわざ
「親戚」を用いたことわざに「親戚の泣き寄り」があります。
この意味は、親戚は普段疎遠であったとしても、不幸が訪れたときにはみな集まって悲しむということです。
お葬式など不幸が訪れたときは親戚が集まって悲しみ、お正月などでは一緒にお祝いをしますね。
このことわざのような習慣は今でも立派に受け継がれています。
親戚と結婚することは出来る?
民法では、近親婚の禁止として以下を定めています。
【民法】
(近親者間の婚姻の禁止)
第734条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。
この条文によると、「直系血族」と「3親等内の傍系血族」の間では結婚をすることが出来ないことがわかります。
逆に言えば、「直系血族」と「3親等内の傍系血族」以外であれば親戚間であっても結婚することが可能という事になります。
「いとこ」や「はとこ」、「いとこ甥」や「いとこ姪」は上記の範囲に含まれませんので結婚することは可能という事ですね。
親族との違い
先ほど「親族」についても簡単に説明をしましたが、親戚と親族の大きな違いは「民法で範囲が定められているかどうか」です。
親族は「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」と範囲が定められています。
しかし、親戚には民法で範囲は定められておりません。
親族について詳しく知りたい方はこちら
まとめ
今回は「親戚」について解説をしてきました。
普段は疎遠でも親戚のつながりというのは非常に強く、困ったときはお互いに助け合う習慣は今も存在しています。
もし困ったことがあれば、少し離れた親戚に相談してみるのもよいかもしれませんね。