みなさんは家系という言葉をご存知でしょうか?
きっと、知っているよ!という方がほとんどですよね。
ですが、この「家系」という言葉は相続手続きなどの際は大変複雑な意味を持つ言葉になるのです。
今回はそんな「家系と相続」について解説をしていきたいと思います。
家系とは
まずは「家系」の直接の意味を解説したいと思います。
家系とは、つまり家の系統のことです。
言葉や動物、スポーツや歴史などすべての事象に系統が存在しています。
その中でも特に家の系統を指す言葉が家系ということですね。
では、家の系統とはなんでしょうか。
これはズバリ血のつながりのことを意味します。
血統やちすじとも言いますね。
現代で家系の話をするときは、家の系統=血のつながりを前提として話を進めていきます。
(※あくまで大前提としての話です。家名すなわち苗字を受け継いだ系統のことも家系と呼びます。)
相続関係の場合の家系とは
ここまでであれば、非常にシンプルで簡単な話ですね。
しかし、相続関係を確認する場合における家系となると複雑な意味を持ってしまいます。
なぜ複雑になるかというと、以下の2つが大きな理由です。
- 結婚と離婚
- 養子縁組
結婚と離婚
結婚はみなさんもよく知っている理由ですね。
籍を入れること、いわゆる入籍をすると家族となります。
家族の一員になるということは、当然家系でも一員になります。
これは先ほどの家の系統=血のつながりとは意味が全く異なりますね。
日本では法律によって家族となれる仕組みがあるので、このような場合も当然に起こります。
そして、結婚があるということは離婚も存在するということですよね。
まさにこの部分が相続関係上で家系という言葉が大変複雑になってきます。
例えば、死亡した男性Aに離婚歴があり前妻Bと後妻Cの間の両方に子供がいるとします。
この場合、男性Aにとっては前妻Bと後妻Cの両方の子供と血縁関係がありますので当然相続上は両方の子供にされなければなりません。
しかし、前妻Bと後妻Cの立場から見るとどうでしょう。
お互いの子供とは血もつながっておらず、結婚のような形式もとっていませんので、言ってしまえば赤の他人です。
ですが夫である男性Aが死亡した場合の相続の権利は両方の子供にあることになります。
このように、結婚と離婚という仕組みがある以上、相続上での家系の考え方というのはどの立場から見るかによって随分と内容が変わってきます。
養子縁組
次の理由が養子縁組です。
養子縁組とは、法律で認められた親子になる制度です。
この養子縁組も先ほどの家の系統=血のつながりとは意味が異なってきますね。
養子縁組に関しても結婚と離婚の場合と同様に、相続では複雑な問題が生じてしまいます。
例えば、普通の血縁関係のある親子の父Aと子Bがいるとします。
そして父Aが養子縁組をして子Cと親子関係になったとします。
この場合で父Aが死亡するとどうなるでしょうか。
父Aの遺産は子Bと養子である子Cに相続がなされます。
正当な血縁関係のある子Bと同様に子Cも権利を取得できることになります。
この場合も先ほどのケースと同様で、家系の考え方が複雑になっています。
相続関係の法律
相続関係では、養子や離婚後の子供などそれぞれの立場を保護するために細かく法律が定められています。
平成25年に法改正がなされましたが、つい最近までは「嫡出子と非嫡出子の法定相続分」に差がありました。
これは嫡出子という「婚姻関係にある夫婦から生まれた子供」と、非嫡出子という「婚姻関係にない夫婦から生まれた子供」の法定相続分に差をつけていた法律です。
なぜこのような法律が存在したかというと、法律では法律婚(結婚)を尊重しています。
法律上正当な婚姻関係にある夫婦から生まれた子供は、当然に優先されるべきという考え方をしていました。
しかし、この法律は憲法の定める平等原則に違反するのではないかと長く議論が進められており、平成25年に法改正へと至った経緯です。
このように、法律では先ほどの離婚後の子供の場合や養子縁組の場合にも相続関係者が皆平等となるように定める努力を常に行っています。
相続上で家系とは、一言では言い表せない深い意味があるのです。
まとめ
今回は家系と相続の関係について説明をしてきました。
一件簡単そうな言葉ですが、相続上になると意味は複雑になってしまいますね。
自分の家系について興味がある際は、家系図も作成して調べてみても良いかもしれません。